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2021.07.25
言語録〜5 食品デザインに求められるもの

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ここ2年ほどはコロナ禍ですっかりご無沙汰してしまっているのですが、例年であればビックサイトや幕張メッセで行われる食品展示会には定点観測的に出品事業者や出品商品のチェック訪問、時折クライアント企業の販売員に紛れ込んで来場者に試食を勧めたりバイヤーさんとの会話の中で今後のトレンドをヒアリングしたり、といった活動をしています。

出品内容、トレンドは毎年のように変化・進化しているのですが、ここ5年程度で最も進化したのは、地域産品のパッケージデザインなのではないかなぁ、というのが実感です。それまでは中身はきっと素晴らしいのに違いないのに外見がどうにも地味〜で目立たない、棚に並んでいても紛れてしまいこれだとなかなか手が伸びないだろうなぁ、というデザインのものが多かったのですが、それが一気に変わり、一目見て「おっ!」と思わず気になってしまうデザインの商品が増えたと思います。

行政側が積極的にデザインコストなどのソフト面の補助金や支援制度を拡充させたというのもあると思いますし、出品者側でのデザインへの意識が変化した、はたまたリモートワークの拡大で、これまでは遠い存在だったデザイナーさんの起用コストが劇的に下がった、というのもあるかもしれません。

ただ、「カッコいい、思わず目を奪われる、足を止めてしまう」デザインが増える一方で、もはやパッケージデザインというピンポイントで差別化が図れる時代は終わりつつあるな、とも思います。食品にも、単なる外見だけのデザインではなく、内向きには従業員に対して、外向きには消費者に対して企業ブランドや経営そのものをデザインして伝えることが求められてきてるのだなぁと思います。

外見だけカッコいいデザインは今後もどんどん増えていくと思いますが、その中でキラリと光る、選ばれる商品・わざわざ買ってみたいと思われる商品は、デザイン以外のさまざまな要素〜品質やお値段はもちろんのこと、バックストーリーや供給・生産の安定性、時流にあった量目や商品性の設計等が複雑に絡み合って構成されていると感じます。